【身元保証人】と【連帯保証人】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

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身元保証人と連帯保証人の分かりやすい違い

身元保証人と連帯保証人は、どちらも他人の責任を保証する立場ですが、その責任範囲と法的効力が大きく異なります。

身元保証人は主に雇用関係で従業員の不正行為等による損害を保証し、責任は限定的です。一方、連帯保証人は借金等の債務を主債務者と同じ責任で負い、全額の支払い義務があります。

企業の人事管理や契約締結において、両者の違いを正確に理解し、適切に運用することが、リスク管理上極めて重要です。

身元保証人とは?

身元保証人とは、従業員の採用時に、その従業員が会社に損害を与えた場合の賠償責任を保証する人です。身元保証法により、保証期間は最長5年(更新可)、保証金額には上限設定が必要とされています。従業員の故意・過失による横領、情報漏洩、器物損壊などの損害が対象となりますが、通常の業務上のミスは含まれません。

身元保証人の責任は限定的で、会社は損害発生時に保証人に通知する義務があり、保証人は一定の場合に契約を解除できます。また、裁判では損害額の全額ではなく、諸事情を考慮した減額が認められることが多いです。2020年の民法改正により、極度額(保証限度額)の定めのない身元保証契約は無効となりました。

企業にとって身元保証は、従業員の不正行為の抑止効果と、万一の損害の補填手段として機能します。ただし、過度に依存することは避け、適切な内部統制システムの構築が基本です。保証人になる際は、極度額と保証期間を必ず確認することが重要です。

身元保証人の例文

  • ( 1 ) 新入社員の身元保証人として、両親に依頼することが一般的です。
  • ( 2 ) 身元保証書の極度額を300万円に設定し、保証期間を3年としました。
  • ( 3 ) 身元保証人から、従業員の勤務態度について問い合わせがありました。
  • ( 4 ) 身元保証契約の更新時期となったため、保証人に継続の意思を確認します。
  • ( 5 ) 従業員の横領が発覚し、身元保証人に損害賠償を請求することになりました。
  • ( 6 ) 身元保証人制度を廃止し、従業員の信用調査に切り替える企業が増えています。

身元保証人の会話例

身元保証人を頼まれましたが、リスクはありますか?
従業員が会社に損害を与えた場合、極度額の範囲内で賠償責任を負う可能性があります。ただし、連帯保証人ほど重い責任ではなく、裁判での減額も期待できます。
身元保証書に極度額の記載がない場合はどうなりますか?
2020年4月以降の契約では、極度額の定めがない身元保証契約は無効となります。必ず具体的な金額を記載してもらってください。
身元保証人を解除できますか?
身元保証法により、従業員の任務や任地の変更、会社からの通知を受けた場合などに解除できます。不安がある場合は、書面で解除を申し出てください。

連帯保証人とは?

連帯保証人とは、主債務者と連帯して債務の履行責任を負う人です。金銭消費貸借、賃貸借契約、事業資金借入などで設定されます。連帯保証人は、催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益を有しないため、債権者は主債務者を差し置いて、いきなり連帯保証人に全額請求できる極めて重い責任です。

連帯保証の特徴は、主債務者と全く同じ支払い義務を負うことです。「まず主債務者に請求してください」という主張(催告の抗弁)や、「主債務者に財産があるからそちらから取り立ててください」という主張(検索の抗弁)ができません。複数の連帯保証人がいても、債権者は誰に対しても全額請求可能です。

2020年の民法改正により、事業用融資を除き、保証契約時に極度額の定めが必須となりました。また、事業用融資の個人保証では、公正証書の作成が必要となるなど、保証人保護が強化されています。安易に連帯保証人になることは、人生を左右しかねないリスクがあることを十分理解すべきです。

連帯保証人の例文

  • ( 1 ) 事業資金の借入にあたり、代表者の配偶者が連帯保証人となりました。
  • ( 2 ) アパートの賃貸契約で、連帯保証人として親族に依頼しました。
  • ( 3 ) 連帯保証人の印鑑証明書と収入証明書の提出を求められました。
  • ( 4 ) 主債務者が破産し、連帯保証人として全額の返済義務を負うことになりました。
  • ( 5 ) 連帯保証人を引き受けたことで、自身の借入審査に影響が出ました。
  • ( 6 ) 公正証書により、事業用融資の連帯保証契約を締結しました。

連帯保証人の会話例

連帯保証人になることを断りたいのですが。
断ることは自由です。「会社の規定で禁止されている」「配偶者の同意が得られない」など、角が立たない理由を伝えるとよいでしょう。安易に引き受けないことが大切です。
連帯保証人と保証人の違いは何ですか?
通常の保証人には催告の抗弁権と検索の抗弁権がありますが、連帯保証人にはありません。連帯保証人は主債務者と同等の責任を負うため、はるかに重い責任となります。
既に連帯保証人になっていますが、やめることはできますか?
債権者の同意なしに一方的にやめることはできません。代わりの保証人を立てる、保証会社を利用するなど、債権者と交渉する必要があります。債務完済まで責任は続きます。

身元保証人と連帯保証人の違いまとめ

身元保証人と連帯保証人の最大の違いは、責任の範囲と重さです。身元保証人は従業員の不正による損害に限定され、減額も可能ですが、連帯保証人は主債務者と同等の全責任を負い、減額の余地はほぼありません。

法的保護も大きく異なり、身元保証には期間制限(最長5年)と極度額設定義務がありますが、連帯保証は債務が続く限り責任も継続します。また、身元保証人は一定の場合に解除できますが、連帯保証人は債務完済まで解除できません。

どちらも安易に引き受けるべきではありませんが、特に連帯保証人は自己破産に至るリスクもあるため、極めて慎重な判断が必要です。企業も個人も、それぞれの制度を正しく理解し、適切に活用することが重要です。

身元保証人と連帯保証人の読み方

  • 身元保証人(ひらがな):みもとほしょうにん
  • 身元保証人(ローマ字):mimotohoshouninn
  • 連帯保証人(ひらがな):れんたいほしょうにん
  • 連帯保証人(ローマ字):renntaihoshouninn
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