【是正処置】と【予防処置】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

是正処置と予防処置の分かりやすい違い
是正処置と予防処置は、どちらも品質管理の改善活動ですが、対応時期が異なります。
是正処置は問題発生後の再発防止策です。
予防処置は問題発生前のリスク回避策で、より積極的な品質管理手法です。
是正処置とは?
是正処置とは、実際に発生した不適合、不具合、クレーム、事故などの根本原因を特定し、その原因を除去して再発を防止する活動です。ISO9001などの品質マネジメントシステムで重要な要素として位置づけられています。単なる修正や応急処置ではなく、真の原因を追究して恒久的な対策を講じることが特徴です。
是正処置のプロセスは、問題の把握→原因分析(なぜなぜ分析、特性要因図など)→対策立案→実施→効果確認→標準化という流れで進めます。製造業では品質不良、サービス業では顧客クレームなどが対象となります。PDCAサイクルのA(Act)に相当する活動です。
「是正処置を実施する」「是正処置報告書を作成」のように、問題の再発防止活動を表現する際に使用される言葉です。
是正処置の例文
- ( 1 ) 製品不良に対する是正処置として、製造工程を見直しました。
- ( 2 ) 顧客クレームの是正処置を3日以内に完了させる体制を整えています。
- ( 3 ) 是正処置の効果を3か月後に検証し、再発がないことを確認します。
- ( 4 ) なぜなぜ分析により真因を特定し、効果的な是正処置を実施しました。
- ( 5 ) 是正処置台帳で、すべての不適合対応を一元管理しています。
- ( 6 ) ISO審査で、是正処置の実施状況について高い評価を受けました。
是正処置の会話例
予防処置とは?
予防処置とは、まだ発生していない潜在的な問題やリスクを事前に特定し、その発生を未然に防ぐための対策を講じる活動です。リスクアセスメント、FMEA(故障モード影響解析)、ヒヤリハット分析などの手法を用いて、将来起こりうる問題を予測し、事前に対策を実施します。
予防処置は、他部門や他社での事例、業界動向、新技術導入時のリスク評価などから潜在的な問題を抽出します。コストは是正処置より低く、効果は大きいため、成熟した品質管理体制では予防処置の比重が高くなります。「転ばぬ先の杖」の考え方です。
「予防処置を計画する」「予防処置でリスクを回避」のように、問題の未然防止活動を表現する際に使用される言葉です。
予防処置の例文
- ( 1 ) 新製品開発時に、予防処置として潜在的リスクを洗い出しています。
- ( 2 ) 他社の事故事例を分析し、予防処置を計画的に実施しています。
- ( 3 ) ヒヤリハット報告から、重大事故につながるリスクへの予防処置を行いました。
- ( 4 ) 予防処置により、品質不良率を前年比50%削減できました。
- ( 5 ) AIを活用して、故障の予兆を検知し予防処置を行う仕組みを構築中です。
- ( 6 ) サプライヤー監査で発見したリスクに、予防処置を要請しています。
予防処置の会話例
是正処置と予防処置の違いまとめ
是正処置と予防処置は、品質管理における問題対応の両輪ですが、アプローチが根本的に異なります。
是正処置は「起きてしまった問題」への対応で消極的、予防処置は「起きるかもしれない問題」への対応で積極的です。
理想的な品質管理では、予防処置を充実させて問題発生を最小化し、発生した問題には確実な是正処置を行います。
是正処置と予防処置の読み方
- 是正処置(ひらがな):ぜせいしょち
- 是正処置(ローマ字):zeseishochi
- 予防処置(ひらがな):よぼうしょち
- 予防処置(ローマ字):yoboushochi