【コンプライアンス】と【法令遵守】の違いとは？例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

コンプライアンスと法令遵守の分かりやすい違い

コンプライアンスと法令遵守は、どちらもルールを守ることに関する言葉ですが、範囲が異なります。

法令遵守は、文字通り法律や規則を守ることです。例えば、税金を正しく納める、労働基準法を守るなどです。一方、コンプライアンスは法令遵守を含みますが、それだけでなく社会的なルールや会社の倫理規定、お客様との約束なども守ることを含みます。

つまり、法令遵守は法律を守ること、コンプライアンスは法律を含むすべてのルールを守ることです。

コンプライアンスとは？

コンプライアンスとは、企業が法令遵守はもちろん、社会的規範、企業倫理、内部規則などを含めた広範なルールや期待に適合することを指します。単なる法令遵守を超えて、ステークホルダーの信頼に応える企業行動全般を包含する概念です。現代企業にとって、コンプライアンスは経営の基盤となる重要な要素です。

コンプライアンス体制には、行動規範の策定、内部統制システムの構築、研修教育、内部通報制度、モニタリング、違反時の対応などが含まれます。また、ESG（環境・社会・ガバナンス）への対応、情報セキュリティ、個人情報保護、ハラスメント防止なども重要な要素となっています。

コンプライアンス違反は、法的制裁だけでなく、レピュテーションリスク、取引停止、株価下落など深刻な影響をもたらします。そのため、経営トップのコミットメントのもと、全社的なコンプライアンス文化の醸成が不可欠です。

コンプライアンスの例文

( 1 ) 全社的なコンプライアンス研修を実施し、企業倫理の浸透を図ります。
( 2 ) コンプライアンス違反の早期発見のため、内部通報制度を強化しました。
( 3 ) 取引先にもコンプライアンス基準の遵守を求め、サプライチェーン全体で取り組みます。
( 4 ) コンプライアンス・オフィサーを任命し、組織的な管理体制を構築しました。
( 5 ) SNS利用に関するコンプライアンスガイドラインを策定し、リスク管理を強化します。
( 6 ) コンプライアンス意識調査の結果、従業員の理解度が向上していることが確認されました。

コンプライアンスの会話例

部長、コンプライアンスと法令遵守は同じ意味ではないのですか？

法令遵守はコンプライアンスの一部です。コンプライアンスには社内規則や企業倫理なども含まれ、より広い概念です。

法律違反ではないが、倫理的に問題がある行為はどう扱うべきですか？

それこそがコンプライアンスの領域です。法的にセーフでも、企業倫理に反する行為は避けるべきです。

コンプライアンス違反を発見しました。どう対応すべきでしょうか？

まず事実確認を行い、上司とコンプライアンス部門に報告してください。隠蔽は絶対に避けましょう。

法令遵守とは？

法令遵守とは、企業や個人が事業活動において、関連する法律、政令、省令、条例などの法的規制を厳格に守ることを指します。これは企業活動の最低限の義務であり、違反すれば刑事罰、行政処分、民事責任などの法的制裁を受ける可能性があります。

企業が遵守すべき法令は多岐にわたり、会社法、金融商品取引法、独占禁止法、労働基準法、環境関連法、個人情報保護法、下請法など、業種や事業内容により異なります。法令は頻繁に改正されるため、最新の法規制を把握し、適切に対応することが求められます。

法令遵守の実践には、法務部門の設置、顧問弁護士との連携、法令改正情報の収集、社内規程の整備、従業員教育などが必要です。特に、規制業種においては、監督官庁への報告義務や検査対応も重要な要素となります。

法令遵守の例文

( 1 ) 改正個人情報保護法への対応として、法令遵守体制を見直しました。
( 2 ) 独占禁止法の法令遵守のため、営業部門への定期研修を実施しています。
( 3 ) 輸出管理に関する法令遵守違反を防ぐため、チェック体制を強化しました。
( 4 ) 労働関連法令の遵守状況を内部監査で確認し、是正措置を講じました。
( 5 ) 新たな環境規制への法令遵守対応により、設備投資が必要となりました。
( 6 ) 法令遵守のための社内マニュアルを更新し、全部門に周知徹底しました。

法令遵守の会話例

法令が頻繁に改正されて対応が追いつきません。どうすればよいですか？

法務部門との連携を強化し、業界団体の情報も活用しましょう。必要なら外部専門家の支援も検討してください。

コンプライアンス研修を受けたがりません。どう説得すればよいですか？

違反事例とその影響を具体的に示し、個人と会社を守るための投資だと説明することが効果的です。

海外取引でのコンプライアンスはどう考えるべきですか？

現地法の遵守に加え、日本の法令、国際規範、現地の商慣習なども考慮する必要があります。

コンプライアンスと法令遵守の違いまとめ

コンプライアンスと法令遵守の違いを理解することは、現代の企業経営において不可欠です。法令遵守はコンプライアンスの基礎的要素であり、コンプライアンスはそれを包含するより広い概念という関係にあります。

実務では、法令遵守は必須事項として確実に実行しつつ、それを超えたコンプライアンス活動により、企業の社会的責任を果たし、ステークホルダーの信頼を獲得することが求められます。両者は補完関係にあり、総合的なアプローチが必要です。

グローバル化が進む中、各国の法令遵守に加え、国際的な規範や現地の文化・慣習への配慮も含めたコンプライアンスの重要性が高まっています。企業の持続的成長には、両者の適切な理解と実践が不可欠です。