【完全失業率】と【失業率】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

完全失業率と失業率の分かりやすい違い
完全失業率と失業率は、どちらも仕事がない人の割合を表しますが、その定義と使われ方に違いがあります。
完全失業率は、総務省が発表する日本の公式な統計指標で、働く意欲があり、実際に求職活動をしているが仕事に就いていない人の労働力人口に占める割合です。失業率は、完全失業率を指すことが多いですが、より広い意味で使われることもある一般的な表現です。
つまり、完全失業率は厳密な定義による公式指標、失業率は一般的な表現という違いがあります。
完全失業率とは?
完全失業率とは、日本の総務省統計局が労働力調査で公表する公式な雇用統計指標です。完全失業者数を労働力人口で割って算出されます。完全失業者とは、①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった、②仕事があればすぐ就くことができる、③調査期間中に求職活動をしていた、という3条件をすべて満たす人を指します。
完全失業率の特徴は、国際労働機関(ILO)の基準に準拠した厳密な定義に基づくことです。これにより、国際比較や時系列比較が可能となります。日本では毎月発表され、景気動向を示す重要な指標として、金融政策や経済政策の判断材料となります。一般的に、3%台は完全雇用に近い状態とされます。
ただし、完全失業率には、求職活動をあきらめた人(非労働力人口)や、不本意ながら非正規雇用で働く人は含まれないという限界があります。そのため、雇用情勢の全体像を把握するには、有効求人倍率や就業率なども併せて見る必要があります。
完全失業率の例文
- ( 1 ) 最新の完全失業率は2.5%で、歴史的な低水準を維持しています。
- ( 2 ) 完全失業率の改善により、人手不足が深刻化している業界もあります。
- ( 3 ) 地域別の完全失業率を分析し、営業戦略に活用しています。
- ( 4 ) 完全失業率が低下する中、優秀な人材の確保が課題となっています。
- ( 5 ) 若年層の完全失業率が相対的に高いことが、社会問題となっています。
- ( 6 ) 完全失業率の統計を基に、雇用政策の効果を検証しています。
完全失業率の会話例
失業率とは?
失業率とは、労働力人口に占める失業者の割合を示す一般的な用語で、多くの場合は完全失業率を指しますが、文脈により様々な定義で使用されることがあります。各国で定義が異なることもあり、アメリカの失業率、EUの失業率など、それぞれの統計基準に基づいて算出されます。
広義の失業率には、完全失業率に含まれない隠れ失業者を含む場合があります。例えば、求職活動をあきらめた人、就業を希望しているが求職活動をしていない人、週1時間でも働いていれば失業者とカウントされない不完全就業者などです。これらを含む広義失業率は、完全失業率より高い数値となります。
ビジネスや経済分析では、失業率は景気判断の重要指標として活用されます。失業率の上昇は景気後退のシグナル、低下は景気回復の兆候とされます。ただし、失業率は遅行指標であり、実際の景気変動から遅れて変化する特性があります。
失業率の例文
- ( 1 ) 世界各国の失業率を比較し、投資判断の参考にしています。
- ( 2 ) コロナ禍で失業率が急上昇しましたが、徐々に回復しています。
- ( 3 ) 構造的失業率と循環的失業率を分析し、経済政策を立案しています。
- ( 4 ) 失業率の高い地域への進出は、人材確保の観点から有利です。
- ( 5 ) 隠れた失業率を含めると、実態はもっと深刻かもしれません。
- ( 6 ) 失業率の低下が賃金上昇圧力につながっています。
失業率の会話例
完全失業率と失業率の違いまとめ
完全失業率と失業率の違いを理解することは、経済指標を正確に読み解く上で重要です。完全失業率は厳密な定義による公式統計、失業率は文脈により広い意味を持つという違いがあります。
実務では、日本の雇用情勢を語る際は完全失業率を使うのが正確です。ただし、一般的な会話では失業率と省略されることも多く、多くの場合は完全失業率を指していると理解して問題ありません。
重要なのは、どちらの用語を使うにせよ、その定義と限界を理解することです。雇用の実態を把握するには、失業率だけでなく、非正規雇用率、若年失業率、長期失業者数など、多角的な指標を見ることが必要です。
完全失業率と失業率の読み方
- 完全失業率(ひらがな):かんぜんしつぎょうりつ
- 完全失業率(ローマ字):kannzennshitsugyouritsu
- 失業率(ひらがな):しつぎょうりつ
- 失業率(ローマ字):shitsugyouritsu