【固定費】と【変動費】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

固定費と変動費の分かりやすい違い
固定費と変動費は、どちらも企業の費用ですが、売上との連動性が異なります。
固定費は売上がゼロでも発生する費用、変動費は売上に比例して増減する費用です。
家賃は固定費、商品の仕入れ代は変動費というように区別して管理します。
固定費とは?
固定費とは、企業の売上高や生産量、操業度に関係なく、一定期間において固定的に発生する費用です。代表的なものに、オフィスや工場の家賃、正社員の基本給、減価償却費、保険料、リース料などがあります。売上がゼロでも、これらの費用は必ず発生するため、企業経営において重要な管理項目となります。
固定費の特徴は、短期的には削減が困難なことです。例えば、家賃は契約期間中は変更できず、正社員の人件費も簡単には削減できません。しかし、売上が増加しても固定費は増えないため、売上高に占める固定費の割合(固定費率)は低下し、利益率が向上します。これを「規模の経済」といいます。
固定費管理は経営の重要課題です。固定費が高すぎると、売上が減少した際に赤字に陥りやすくなります。一方で、必要な固定費を削りすぎると、事業の競争力が低下する恐れがあります。業界や事業モデルにより適正な固定費水準は異なるため、継続的な見直しが必要です。
固定費の例文
- ( 1 ) 今期は売上が減少しましたが、固定費の家賃や人件費は削減できず苦戦しています。
- ( 2 ) 新規出店の固定費として、月額家賃50万円と正社員3名の人件費が発生します。
- ( 3 ) 固定費削減のため、自社ビルを売却してリースバックに切り替えました。
- ( 4 ) 設備投資により減価償却費という固定費が増加しますが、生産性向上で回収予定です。
- ( 5 ) 固定費比率を下げるため、一部業務をアウトソーシング(外注化)しました。
- ( 6 ) 売上高に占める固定費の割合が40%を超えており、収益構造の改善が急務です。
固定費の会話例
変動費とは?
変動費とは、企業の売上高や生産量、操業度に比例して増減する費用です。主な項目として、商品の仕入原価、原材料費、外注加工費、販売手数料、運送費などがあります。売上が2倍になれば変動費も概ね2倍になる性質があり、売上との連動性が高いのが特徴です。
変動費率(変動費÷売上高)は、事業の収益性を測る重要な指標です。変動費率が低いほど、売上増加時の利益の伸びが大きくなります。例えば、変動費率が60%の場合、100円の売上に対して40円の限界利益(売上-変動費)が得られます。この限界利益で固定費を回収し、残りが営業利益となります。
変動費の管理では、仕入先との価格交渉、物流効率の改善、歩留まり率の向上などが重要です。また、変動費の一部を固定費化(例:外注から内製化)することで、規模拡大時の収益性を高めることも可能です。ただし、これは売上減少時のリスクも高めるため、慎重な判断が必要です。
変動費の例文
- ( 1 ) 原材料価格の上昇により、変動費率が5ポイント悪化しました。
- ( 2 ) 変動費である販売手数料を、売上の10%から8%に引き下げる交渉に成功しました。
- ( 3 ) 仕入先を見直すことで、変動費を年間1,000万円削減できる見込みです。
- ( 4 ) 変動費率65%を60%に改善することで、限界利益率を5ポイント向上させます。
- ( 5 ) 運送費などの変動費が増加していますが、売上も比例して伸びているので問題ありません。
- ( 6 ) 変動費管理を徹底した結果、同じ売上高でも利益が20%増加しました。
変動費の会話例
固定費と変動費の違いまとめ
固定費と変動費の区分は、経営分析と意思決定の基本です。この区分により、損益分岐点の計算、価格設定、投資判断が可能になります。
固定費は経営の安定性、変動費は収益性に直結します。両者のバランスが企業の収益構造を決定します。
金融機関の企業分析でも、固定費と変動費の構成比は重要な評価項目です。
固定費と変動費の読み方
- 固定費(ひらがな):こていひ
- 固定費(ローマ字):koteihi
- 変動費(ひらがな):へんどうひ
- 変動費(ローマ字):hendohi