【分限処分】と【懲戒処分】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

分限処分と懲戒処分の分かりやすい違い
分限処分と懲戒処分は、どちらも公務員への処分ですが、理由と目的が全く違います。分限処分は、病気や能力不足など、公務員として適性がない場合に行う処分です。
懲戒処分は、法律違反や職務怠慢など、悪いことをした場合の罰としての処分です。
分限処分は適性がないための処分、懲戒処分は悪いことへの罰と覚えると分かりやすいでしょう。
分限処分とは?
分限処分とは、公務員がその職務を十分に果たせない場合に、公務の能率維持を目的として行われる処分です。心身の故障による長期休職、勤務実績不良、適格性欠如などが対象となります。処分の種類には、降任、免職、休職、降給があります。本人の責任を問うものではなく、公務の適正な運営を確保するための措置です。
分限処分は、懲戒処分と異なり制裁的性格を持ちません。例えば、病気により長期間職務遂行が困難な場合の分限免職は、本人に非がなくても行われます。ただし、恣意的な処分を防ぐため、医師の診断書や勤務評価記録など客観的な根拠が必要で、本人への聴聞機会も保障されます。
民間企業の解雇に相当しますが、公務員の身分保障の観点から、より厳格な要件と手続きが定められています。処分に不服がある場合は、人事委員会への不服申立てが可能です。
分限処分の例文
- ( 1 ) 長期療養により職務復帰が困難なため、分限処分の対象となりました。
- ( 2 ) 勤務成績不良が続いているため、分限処分による降任を検討しています。
- ( 3 ) 分限処分は制裁ではないため、退職金は支給されます。
- ( 4 ) 心身の故障による分限休職期間は、最長3年間です。
- ( 5 ) 分限処分に対する不服申立てを、人事委員会に提出しました。
- ( 6 ) 職務遂行能力の著しい欠如により、分限免職処分となりました。
分限処分の会話例
懲戒処分とは?
懲戒処分とは、公務員が職務上の義務違反や公務員としてふさわしくない非行があった場合に、職場秩序維持のために科される制裁的処分です。法令違反、職務怠慢、信用失墜行為などが対象となり、戒告、減給、停職、免職の4種類があります。処分の軽重は、非違行為の動機、態様、結果、社会的影響などを総合的に考慮して決定されます。
懲戒処分は、職員の規律と秩序を保つための制度で、一般の刑罰とは別に科されます。飲酒運転、セクハラ、パワハラ、公金横領、情報漏洩などが典型的な処分事由です。
処分に当たっては、事実関係の調査、本人への弁明機会の付与など、適正手続きの保障が必要です。懲戒免職を受けると退職金が支給されず、再就職にも大きな影響があります。公務員の信頼を損なう行為に対しては、厳正な処分が行われる傾向にあります。
懲戒処分の例文
- ( 1 ) 飲酒運転により、懲戒処分として停職3ヶ月の処分を受けました。
- ( 2 ) 公金横領の事実が発覚し、懲戒免職処分が下されました。
- ( 3 ) セクハラ行為に対して、懲戒処分の戒告を受けました。
- ( 4 ) 懲戒処分の量定について、過去の事例を参考に検討しています。
- ( 5 ) パワハラによる懲戒処分を避けるため、管理職研修を実施します。
- ( 6 ) 情報漏洩により懲戒処分を受け、昇進が見送られました。
懲戒処分の会話例
分限処分と懲戒処分の違いまとめ
分限処分と懲戒処分の最大の違いは、処分の目的と性質です。分限処分は公務能率の維持が目的で制裁ではなく、懲戒処分は秩序維持のための制裁です。
処分理由も異なり、分限処分は能力不足や病気など適格性の問題、懲戒処分は違法行為や職務違反などの非行が対象です。処分後の影響も、懲戒処分の方がより重大です。
公務員の身分に関わる重要な制度であり、それぞれの違いを正確に理解することが必要です。
分限処分と懲戒処分の読み方
- 分限処分(ひらがな):ぶんげんしょぶん
- 分限処分(ローマ字):bunngennshobunn
- 懲戒処分(ひらがな):ちょうかいしょぶん
- 懲戒処分(ローマ字):choukaishobunn