【買収】と【M&A】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

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買収とM&Aの分かりやすい違い

買収とM&Aは、どちらも企業の統合に関する言葉ですが、その範囲が異なります。

買収は、ある会社が別の会社の株式を買い取って支配権を得ることです。一方、M&A(エムアンドエー)は「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語では「合併と買収」を意味し、買収だけでなく合併、事業譲渡、資本提携など、企業再編のあらゆる手法を含む広い概念です。

つまり、買収は「企業を買い取る行為」、M&Aは「企業再編の総称」という違いがあります。

買収とは?

買収とは、企業が他の企業の株式や事業を取得し、経営権や支配権を獲得する行為を指します。主な手法として、株式取得(公開買付、相対取引、第三者割当増資引受)、事業譲渡、会社分割による事業承継などがあります。買収により、買収企業は迅速な事業拡大や新規参入を実現でき、被買収企業は経営資源の獲得や事業承継問題の解決が可能となります。

買収価格の決定には、企業価値評価(バリュエーション)が重要で、DCF法、マルチプル法、純資産法などを組み合わせて算定します。デューデリジェンスでは、財務、法務、ビジネス、人事、IT、環境など多角的な調査を行い、リスクと機会を評価します。買収後の統合(PMI)の成否が、買収の成果を大きく左右します。

近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)を目的としたIT企業の買収、ESG投資の観点からの買収評価、クロスボーダー買収の増加などの傾向が見られます。また、事業ポートフォリオの最適化を目的とした選択と集中も活発化しています。

買収の例文

  • ( 1 ) スタートアップ企業の買収により、新規事業領域への参入を果たしました。
  • ( 2 ) 競合他社からの買収提案を受けましたが、独立経営を維持する方針です。
  • ( 3 ) 段階的買収により、3年かけて完全子会社化を実現する計画です。
  • ( 4 ) 買収監査(デューデリジェンス)で重大なリスクが発見され、買収を中止しました。
  • ( 5 ) 友好的買収により、両社の強みを活かしたシナジー創出を目指します。
  • ( 6 ) 買収ファイナンスとして、銀行借入とエクイティ調達を組み合わせました。

買収の会話例

部長、買収とM&Aは同じ意味ではないのですか?
M&Aは買収を含む広い概念です。買収はM&Aの一つの手法で、他に合併や資本提携なども含まれます。
M&A部門に配属されましたが、買収だけを扱うのですか?
いいえ、買収だけでなく、合併、事業譲渡、資本提携、合弁会社設立など、様々な企業再編を扱います。
買収案件をM&A案件と呼んでも問題ないですか?
実務上は問題ありませんが、正確には「買収型のM&A案件」です。M&Aの方が包括的な表現になります。

M&Aとは?

M&A(Mergers and Acquisitions)とは、企業の合併と買収を中心とした、企業再編に関わる一連の取引の総称です。狭義では合併と買収を指しますが、広義では事業譲渡、会社分割、株式交換、株式移転、資本業務提携、合弁会社設立なども含まれます。企業価値向上、事業承継、業界再編などを目的として実施されます。

M&Aのプロセスは、戦略策定、対象企業の探索(ソーシング)、初期検討、基本合意、デューデリジェンス、最終契約、クロージング、統合(PMI)という流れが一般的です。M&Aアドバイザー、投資銀行、法律事務所、会計事務所、コンサルティング会社などの専門家が、各段階で重要な役割を果たします。

日本のM&A市場は、事業承継型M&A、大企業による成長戦略型M&A、プライベートエクイティによるバイアウトなど多様化しています。成功の鍵は、明確な戦略、適切な価格、文化的適合性、丁寧な統合プロセスにあり、失敗の多くは統合段階での問題に起因します。

M&Aの例文

  • ( 1 ) M&A戦略を中期経営計画の柱に据え、成長加速を図ります。
  • ( 2 ) M&Aアドバイザーを選定し、売却プロセスを開始しました。
  • ( 3 ) クロスボーダーM&Aにより、アジア市場での事業基盤を確立しました。
  • ( 4 ) M&Aによる事業承継で、後継者問題を解決し、雇用を維持できました。
  • ( 5 ) M&A後の統合(PMI)を成功させ、想定シナジーの120%を実現しました。
  • ( 6 ) M&A市場の活況により、企業価値評価が高騰している状況です。

M&Aの会話例

M&Aは大企業だけのものですか?
いいえ、中小企業の事業承継や、スタートアップの出口戦略としても活発に行われています。
M&Aと買収、どちらの用語を使うべきですか?
総合的な企業再編戦略を語る時はM&A、具体的に企業を買い取る話をする時は買収を使うのが適切です。
M&Aって結局何の略ですか?
Mergers(合併)and Acquisitions(買収)の略です。企業再編手法の代表的な二つを合わせた言葉です。

買収とM&Aの違いまとめ

買収とM&Aの違いを理解することは、企業戦略の議論において重要です。買収はM&Aの代表的な手法の一つであり、M&Aは買収を含むより広い概念という関係性を押さえることが基本です。

実務では、「M&A戦略」という場合は買収だけでなく、合併、提携、合弁なども含めた総合的な成長戦略を指し、「買収案件」という場合は具体的な企業買収を指します。メディアでは両者を同義で使うこともありますが、厳密には区別すべきです。

また、M&Aという用語を使う際は、文脈に応じて狭義(合併・買収のみ)か広義(企業再編全般)かを意識することが、正確なコミュニケーションにつながります。

買収とM&Aの読み方

  • 買収(ひらがな):ばいしゅう
  • 買収(ローマ字):baishuu
  • M&A(ひらがな):えむあんどえー
  • M&A(ローマ字):emuanndoe-
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