【自営業】と【会社役員】の違いとは？例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

自営業と会社役員の分かりやすい違い

自営業と会社役員は、どちらも経営に携わる立場ですが、法的地位や責任の範囲が大きく異なります。自営業は個人事業主として自らの名前で事業を行い、事業の利益も損失もすべて個人に帰属します。

一方、会社役員は法人の機関として経営に参画し、会社法に基づく責任を負います。税務上の扱いや社会保険、事業リスクの負担方法など、多くの面で両者には違いがあり、どちらを選択するかは事業規模や将来計画によって決まります。

自営業とは？

自営業とは、会社などの組織に属さず、個人で事業を営む働き方を指します。個人事業主とも呼ばれ、自らが事業主体となって商品販売やサービス提供を行います。飲食店経営、コンサルタント、フリーランスのデザイナーなど、幅広い業種で見られる働き方です。

自営業の特徴は、事業に関するすべての決定権を持つ一方で、事業リスクも全て個人で負うことです。収入は事業の成果に直結し、経費を差し引いた利益が所得となります。税務上は事業所得として確定申告を行い、青色申告特別控除などの優遇措置を受けることができます。

自営業は、定年がなく自分のペースで働ける自由度の高さが魅力ですが、収入の不安定さや社会保障の薄さといったデメリットもあります。事業資金の調達も個人の信用に依存するため、計画的な経営が求められます。

自営業の例文

( 1 ) 私は自営業として税理士事務所を開業し、顧問先企業の税務相談や申告業務を行っています。
( 2 ) 自営業のコンサルタントとして独立してから5年、ようやく事業が軌道に乗ってきました。
( 3 ) 自営業者向けの小規模企業共済に加入し、将来の退職金準備を始めました。
( 4 ) 自営業として飲食店を経営していますが、コロナ禍での持続化給付金に助けられました。
( 5 ) 自営業の建築士として、住宅設計から監理まで一貫して請け負っています。
( 6 ) 自営業者としての確定申告では、青色申告を選択して65万円の特別控除を受けています。

自営業の会話例

自営業として独立を考えていますが、どのような準備が必要でしょうか。

まず事業計画の策定と開業資金の確保が重要です。また、個人事業の開業届を税務署に提出し、青色申告の承認申請も同時に行うことをお勧めします。

自営業の場合、退職金はどのように準備すればよいですか。

小規模企業共済や個人型確定拠出年金（iDeCo）を活用することで、税制優遇を受けながら退職金を準備できます。掛金は全額所得控除の対象となります。

自営業から法人化を検討していますが、どのタイミングがよいでしょうか。

一般的に年間利益が800万円を超えると、法人税率の方が有利になります。また、信用力向上や事業承継を考慮して法人化を決断する方も多いです。

会社役員とは？

会社役員とは、株式会社や合同会社などの法人において、取締役、監査役、執行役などの経営に関わる重要な地位に就く者を指します。会社法に基づいて選任され、会社の業務執行や監督を行う立場にあり、代表取締役は会社を代表して契約などの法律行為を行います。会社役員は、会社との間で委任契約を結び、経営判断に対して善管注意義務と忠実義務を負います。

報酬は役員報酬として支払われ、定期同額給与として損金算入が認められています。また、役員の経営判断ミスにより会社に損害を与えた場合は、損害賠償責任を負う可能性があります。

会社役員の立場は、会社という法人格を通じて事業を行うため、個人資産と会社資産が分離されており、有限責任の原則により個人リスクが限定されます。ただし、会社の信用を背景とした個人保証を求められることも多く、実質的にはリスクを負うケースもあります。

会社役員の例文

( 1 ) 当社の代表取締役として、会社役員の立場から中期経営計画の策定を主導しています。
( 2 ) 会社役員に就任してから、取締役会での重要な経営判断に参画する責任の重さを実感しています。
( 3 ) 社外取締役の会社役員として、独立した立場から経営の監督機能を果たしています。
( 4 ) 会社役員の報酬について、定期同額給与の原則に基づいて年度初めに決定しました。
( 5 ) 監査役という会社役員の立場から、取締役の職務執行を監査する重要な役割を担っています。
( 6 ) 会社役員として、株主総会での説明責任を果たすため、決算内容の詳細な把握に努めています。

会社役員の会話例

会社役員になると、どのような法的責任が発生しますか。

取締役は会社に対して善管注意義務と忠実義務を負い、任務懈怠があれば損害賠償責任を問われます。また、第三者に対しても責任を負う場合があります。

会社役員の報酬はどのように決定されますか。

株主総会で報酬総額を決定し、取締役会で個別の配分を決めるのが一般的です。税務上は定期同額給与とする必要があり、期中での変更は原則できません。

会社役員を退任する際の注意点を教えてください。

退任後も一定期間は競業避止義務や守秘義務が継続します。また、在任中の行為について責任を問われる可能性もあるため、役員賠償責任保険の継続も検討すべきです。

自営業と会社役員の違いまとめ

自営業と会社役員の最大の違いは、事業主体と責任の所在にあります。自営業は個人が直接事業を行い無限責任を負いますが、会社役員は法人の機関として有限責任の原則の下で経営を行います。税務面でも、自営業は事業所得として累進課税を受けますが、会社役員は給与所得として扱われ、法人税と所得税の二重課税となります。

社会保険も、自営業は国民健康保険・国民年金ですが、会社役員は健康保険・厚生年金に加入します。

事業展開の観点では、自営業は機動的な意思決定が可能ですが資金調達に限界があり、会社役員は組織的な事業拡大が可能ですが、株主や他の役員との調整が必要になります。