【不適切会計】と【不正会計】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

【不適切会計】と【不正会計】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説 | イメージ画像

不適切会計と不正会計の分かりやすい違い

不適切会計と不正会計は、どちらも正しくない会計処理を指しますが、その性質と重大性が大きく異なります。

不適切会計は、会計基準の理解不足や判断ミスによる誤った処理を指し、必ずしも悪意があるわけではありません。一方、不正会計は売上の水増しや費用の隠蔽など、意図的に財務諸表を偽る行為です。

企業にとって、不適切会計は修正で対応できることが多いですが、不正会計は刑事責任を問われる可能性があり、企業の信頼を根底から失墜させる重大な問題となります。

不適切会計とは?

不適切会計とは、会計基準や税法の解釈の誤り、内部統制の不備、担当者の知識不足などにより、結果として正しくない会計処理が行われることを指します。意図的な虚偽記載ではないものの、財務諸表の信頼性を損なう可能性がある会計処理全般を含みます。

典型的な例として、収益認識のタイミングの誤り、引当金計上の不足、減価償却方法の不適切な適用、連結範囲の判断ミスなどがあります。これらは会計監査で指摘されることが多く、過年度の財務諸表を訂正する必要が生じることもあります。

不適切会計は、企業の内部統制の強化、会計知識の向上、外部専門家の活用などにより防止できます。発覚した場合は速やかに修正し、再発防止策を講じることで、ステークホルダーからの信頼回復を図ることが可能です。

不適切会計の例文

  • ( 1 ) 監査法人から、当社の収益認識に関して不適切会計の指摘を受け、会計処理の見直しを行うことになりました。
  • ( 2 ) 税務調査において、交際費の損金算入に関する不適切会計が発見され、修正申告を行いました。
  • ( 3 ) M&A会計における のれんの評価方法が不適切会計にあたるとして、過年度決算の訂正を実施しました。
  • ( 4 ) 内部監査で発見された在庫評価の不適切会計について、四半期報告書で適切に開示し、改善策を実施しました。
  • ( 5 ) 連結子会社の会計処理に不適切会計があったため、連結財務諸表の修正再表示を行いました。
  • ( 6 ) リース会計の適用に関する不適切会計が判明し、会計方針の変更と遡及適用を実施しました。

不適切会計の会話例

決算発表が延期されましたが、不適切会計の可能性はありますか。
会計処理の確認に時間を要している可能性があります。不適切会計であれば訂正で済みますが、詳細は会社の発表を待つ必要があります。
当社で不適切会計が見つかった場合、どのような対応が必要ですか。
まず事実関係を正確に把握し、適切な会計処理に修正します。その上で、適時開示を行い、再発防止策を策定・実施することが重要です。
内部通報で経理部門の不適切な処理が指摘されました。どう対処すべきでしょうか。
直ちに事実確認を行い、不適切会計か不正会計かを見極める必要があります。初動が重要なので、監査法人や弁護士などの専門家に相談することをお勧めします。

不正会計とは?

不正会計とは、経営者や従業員が意図的に虚偽の財務情報を作成し、投資家や債権者を欺く行為を指します。粉飾決算とも呼ばれ、売上の架空計上、費用の過少計上、資産の過大評価、負債の隠蔽などの手法により、企業の財務状態を実際よりも良く見せかける行為です。

不正会計の動機としては、業績目標の達成圧力、株価維持、融資条件のクリア、経営者報酬の確保などがあります。循環取引、押し込み販売、会計期間のずらし、子会社を利用した損失飛ばしなど、手口は巧妙化しています。

不正会計が発覚すると、金融商品取引法違反や特別背任罪などの刑事責任、上場廃止、巨額の課徴金、株主代表訴訟による損害賠償など、企業と経営者に致命的な打撃を与えます。企業の存続自体が危ぶまれる事態に陥ることも少なくありません。

不正会計の例文

  • ( 1 ) A社で売上の架空計上による不正会計が発覚し、経営陣が総退陣する事態となりました。
  • ( 2 ) 循環取引による不正会計で、B社に対して証券取引等監視委員会から課徴金納付命令が出されました。
  • ( 3 ) C社の不正会計事件では、粉飾額が1000億円を超え、歴代社長が逮捕される事態に発展しました。
  • ( 4 ) 子会社を利用した損失飛ばしによる不正会計が発覚し、D社は上場廃止の危機に直面しています。
  • ( 5 ) E社では、費用の先送りによる不正会計が10年以上続いていたことが第三者委員会の調査で判明しました。
  • ( 6 ) 不正会計の発覚により、F社の株価は一日で50%下落し、株主から集団訴訟を起こされました。

不正会計の会話例

取引先で不正会計が発覚しました。当社への影響はありますか。
循環取引に巻き込まれていないか確認が必要です。また、取引先の信用リスクが高まるため、債権回収や与信管理の強化が必要になります。
不正会計を防ぐにはどのような体制が必要ですか。
内部統制の強化、内部通報制度の整備、定期的な内部監査、取締役会の監督機能強化、そして何より経営トップが高い倫理観を持つことが不可欠です。
もし従業員が不正会計を指示された場合、どうすべきですか。
絶対に従ってはいけません。内部通報窓口や監査役に報告し、それでも改善されない場合は、外部の通報窓口や弁護士に相談すべきです。自身も共犯になるリスクがあります。

不適切会計と不正会計の違いまとめ

不適切会計と不正会計の決定的な違いは、故意性の有無にあります。不適切会計が過失や判断ミスによるものであるのに対し、不正会計は明確な意図を持って行われる違法行為です。

対応面でも大きな差があり、不適切会計は訂正報告書の提出や内部統制の改善で対処可能ですが、不正会計は刑事告発、役員の辞任、第三者委員会の設置など、抜本的な対応が必要となります。

企業は、不適切会計を防ぐための内部統制構築はもちろん、不正会計を絶対に許さない企業文化の醸成と、コンプライアンス体制の確立が求められます。

不適切会計と不正会計の読み方

  • 不適切会計(ひらがな):ふてきせつかいけい
  • 不適切会計(ローマ字):futekisetsukaikei
  • 不正会計(ひらがな):ふせいかいけい
  • 不正会計(ローマ字):fuseikaikei
  1. TOP
  2. 言葉の違い
  3. ビジネス
  4. 【不適切会計】と【不正会計】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説