【自社株買い】と【自社株消却】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

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自社株買いと自社株消却の分かりやすい違い

自社株買いと自社株消却は、連続した企業の資本政策ですが、その行為と効果が異なります。

自社株買いは、企業が市場から自社の株式を買い戻すことです。買った株式は金庫株として保有されます。これにより一株当たり利益が向上します。自社株消却は、自社株買いで取得した株式を消滅させることで、発行済株式総数が永久に減少します。

つまり、自社株買いは株式の取得、自社株消却は株式の消滅という違いがあり、消却は買いの後に行われます。

自社株買いとは?

自社株買い(自己株式取得)とは、上場企業が市場を通じて、または株主から直接、自社の発行済株式を買い戻すことです。取得した株式は金庫株として保有され、議決権は停止されます。株主還元策の一つであり、配当と並ぶ重要な資本政策です。市場買付け、ToSTNeT取引、公開買付けなどの方法があります。

自社株買いの効果として、①一株当たり利益(EPS)の向上、②ROEの改善、③株価の下支え、④余剰資金の株主還元、⑤敵対的買収への防衛などがあります。取得した自社株は、将来の M&A の対価、ストックオプションの原資、または消却に使用できます。会社法により、配当可能利益の範囲内での取得が義務付けられています。

自社株買いの実施には、取締役会決議(または株主総会決議)が必要で、インサイダー取引規制にも注意が必要です。市場への影響を考慮し、一定期間にわたって少しずつ買い付けることが一般的です。

自社株買いの例文

  • ( 1 ) 1000億円規模の自社株買いを実施し、株主還元を強化します。
  • ( 2 ) 自社株買いにより、一株当たり利益が10%向上する見込みです。
  • ( 3 ) 余剰資金を活用した自社株買いで、資本効率を改善しました。
  • ( 4 ) 自社株買いプログラムの進捗は、四半期ごとに開示しています。
  • ( 5 ) 市場価格を注視しながら、機動的な自社株買いを実施しています。
  • ( 6 ) 自社株買いと増配を組み合わせた総合的な株主還元策を発表しました。

自社株買いの会話例

財務担当役員、自社株買いだけでは不十分ですか?
買いだけでも効果はありますが、消却まで行うことで、より明確な株主還元の意思を示せます。
自社株買いと配当、どちらが株主にとって有利ですか?
税制や投資家の選好により異なります。一般的に、成長企業は自社株買い、成熟企業は配当が好まれます。
なぜすぐに消却せず、金庫株として保有するのですか?
将来のM&Aでの活用、従業員へのインセンティブ付与など、経営の柔軟性を確保するためです。

自社株消却とは?

自社株消却とは、企業が保有する自己株式(金庫株)を消滅させ、発行済株式総数を減少させる行為です。消却された株式は二度と市場に戻ることがなく、永久的に株式数が減少します。これにより、既存株主の持分比率が相対的に上昇し、一株当たりの企業価値が向上します。

自社株消却の目的は、①株主価値の向上、②資本効率の改善、③希薄化の防止、④株式需給の改善などです。消却により発行済株式総数が減少するため、一株当たり利益(EPS)や一株当たり純資産(BPS)が向上し、理論的には株価上昇要因となります。また、将来の株式希薄化リスクを排除できます。

消却の手続きは、取締役会決議により実施され、法的には資本剰余金または利益剰余金を減少させます。消却のタイミングは、自社株買い完了後すぐに行う場合と、一定期間保有後に行う場合があります。投資家へのメッセージ効果も大きく、経営陣の株主重視姿勢を示すシグナルとなります。

自社株消却の例文

  • ( 1 ) 取得した自社株1000万株の消却を取締役会で決議しました。
  • ( 2 ) 自社株消却により、発行済株式総数が5%減少します。
  • ( 3 ) 3年連続で自社株消却を実施し、株主価値向上に努めています。
  • ( 4 ) 自社株消却後のEPS改善効果は、約8%と試算しています。
  • ( 5 ) 金庫株をすべて消却し、将来の希薄化懸念を払拭しました。
  • ( 6 ) 自社株消却の実施により、市場の評価が向上しています。

自社株消却の会話例

自社株消却で株価は必ず上がりますか?
理論的には上昇要因ですが、市場全体の動向や企業の業績など、他の要因も影響するため確実ではありません。
自社株買いの上限はありますか?
会社法上、配当可能利益の範囲内という制限があります。また、流通株式比率の維持も考慮が必要です。
消却した株式を再発行できますか?
いいえ、消却した株式は永久に消滅します。新たに資金調達する場合は、新株発行が必要になります。

自社株買いと自社株消却の違いまとめ

自社株買いと自社株消却の違いを理解することは、企業の資本政策を評価する上で重要です。自社株買いは取得行為、消却は株式の消滅行為という時系列的な違いがあります。

実務では、自社株買いを発表しても必ずしも消却するとは限りません。取得した自社株を金庫株として保有し、将来の企業買収や従業員への付与に活用する選択肢もあります。一方、消却を前提とした自社株買いは、より強い株主還元の意思表示となります。

投資家の視点では、自社株買いは短期的な需給改善効果、消却は長期的な株主価値向上効果が期待できます。企業は財務状況、成長戦略、株主還元方針を総合的に勘案して、最適な資本政策を選択する必要があります。

自社株買いと自社株消却の読み方

  • 自社株買い(ひらがな):じしゃかぶがい
  • 自社株買い(ローマ字):jishakabugai
  • 自社株消却(ひらがな):じしゃかぶしょうきゃく
  • 自社株消却(ローマ字):jishakabushoukyaku
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