【寡占企業】と【複占企業】の違いとは？例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

寡占企業と複占企業の分かりやすい違い

寡占企業と複占企業は、市場支配企業数による分類です。

寡占企業は3社以上の少数企業による市場支配で、複占企業は2社のみによる市場支配という特殊なケースです。

複占は寡占の一形態ですが、2社間の駆け引きがより鮮明で、戦略的相互依存性が極めて高い状態です。

寡占企業とは？

寡占企業とは、特定の市場において少数の企業（通常3〜5社程度）が大部分のシェアを占めている状態の企業を指します。自動車産業、携帯電話キャリア、石油産業などが典型例で、参入障壁が高く、各社の行動が他社に大きく影響します。価格競争よりも、サービスや品質での差別化競争が行われることが多いです。

寡占市場では、1社の価格変更や新商品投入が他社の戦略に直接影響するため、各社は競合の動向を常に注視します。談合や価格カルテルのリスクもあり、独占禁止法による監視対象となることもあります。規模の経済が働きやすく、研究開発投資も活発です。

消費者にとっては選択肢が限られる一方、品質やサービスの向上が期待できる面もあります。グローバル競争の中で、国内寡占企業の競争力強化は重要な課題です。

寡占企業の例文

( 1 ) 通信業界は大手3社による寡占企業体制です。
( 2 ) 寡占企業間の価格競争は限定的です。
( 3 ) 新規参入により寡占企業の構造が変化しています。
( 4 ) 寡占企業のM&Aには独禁法審査が必要です。
( 5 ) 自動車業界の寡占企業が電動化で競争しています。
( 6 ) 寡占企業の研究開発投資額は膨大です。

寡占企業の会話例

寡占企業の問題点は何ですか？

価格が高止まりしやすく、談合リスクもあります。一方で、規模の利益により効率的な経営も可能です。

寡占企業への就職はどうですか？

安定性が高く、研修制度も充実している傾向があります。ただし、競争企業が少ないため転職先は限られます。

寡占市場に新規参入は可能ですか？

参入障壁が高く困難ですが、技術革新や規制緩和により可能性はあります。十分な資金力と差別化戦略が必要です。

複占企業とは？

複占企業とは、特定の市場を2社のみで支配している状態の企業を指し、寡占の最も極端な形態です。航空機製造のボーイングとエアバス、CPUのインテルとAMD、炭酸飲料のコカ・コーラとペプシなどが代表例です。相手企業の戦略が自社に与える影響が極めて大きく、ゲーム理論的な駆け引きが展開されます。

複占市場では、価格競争に陥ると両社とも利益を損なうため、暗黙の了解による価格維持や、製品差別化による棲み分けが行われることがあります。一方で、技術革新や市場シェア獲得を巡る激しい競争も展開されます。どちらかが失敗すると独占に近づく危険性もあります。

規制当局は複占企業の行動を注意深く監視し、消費者利益の保護に努めます。新規参入は極めて困難で、市場の硬直化リスクもあります。