【内部留保】と【資本金】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

内部留保と資本金の分かりやすい違い
内部留保と資本金は、どちらも企業の純資産ですが、お金の出どころが異なります。
内部留保は企業が稼いで貯めたお金、資本金は株主が最初に出したお金です。
利益を積み立てれば内部留保が増え、新株を発行すれば資本金が増えます。
内部留保とは?
内部留保とは、企業が事業活動で獲得した利益のうち、配当として株主に還元せずに社内に蓄積した部分を指します。会計上は「利益剰余金」として貸借対照表の純資産の部に計上されます。具体的には、利益準備金、任意積立金、繰越利益剰余金などが含まれます。企業の自己資本を充実させ、財務基盤を強化する重要な要素です。
内部留保は現金として保有されているわけではなく、設備投資、研究開発、運転資金など様々な形で活用されています。企業は内部留保を活用することで、外部からの借入に頼らず事業を拡大でき、財務の健全性を保てます。ただし、過度な内部留保は株主への還元不足として批判されることもあります。
内部留保の水準は、企業の成長性と安定性のバランスを示す指標です。成長企業は将来の投資に備えて内部留保を厚くし、成熟企業は配当性向を高める傾向があります。適切な内部留保の管理は、企業価値の最大化につながる重要な経営判断です。
内部留保の例文
- ( 1 ) 今期の純利益10億円のうち、6億円を内部留保として積み立てます。
- ( 2 ) 内部留保を活用して、来期は大規模な設備投資を計画しています。
- ( 3 ) 過去10年間の内部留保により、無借金経営を実現しています。
- ( 4 ) 内部留保が潤沢なため、経済危機にも耐えられる財務体質です。
- ( 5 ) 株主還元と内部留保のバランスを考慮し、配当性向を30%に設定しました。
- ( 6 ) 内部留保の一部を取り崩して、特別配当を実施することを決定しました。
内部留保の会話例
資本金とは?
資本金とは、会社設立時や増資時に株主が払い込んだ出資金のうち、資本金として計上された金額を指します。会社法上、株式会社の設立には最低1円の資本金が必要です。資本金は会社の基礎となる財産で、債権者保護の観点から簡単に減少させることはできません。貸借対照表では純資産の部の株主資本に計上されます。
資本金の額は、会社の規模や信用力を示す指標の一つとされています。大企業ほど資本金が大きい傾向がありますが、必ずしも資本金の大きさと企業の収益力は比例しません。税法上は資本金1億円を境に中小企業と大企業が区分され、税率や各種特例の適用が変わります。
資本金は増資により増加し、減資により減少します。増資は新株発行により資金調達と同時に行われることが多く、企業の成長資金となります。一方、減資は欠損填補や株主への払い戻しのために行われますが、債権者保護手続きが必要で、手続きは複雑です。
資本金の例文
- ( 1 ) 創業時の資本金は1,000万円でしたが、現在は10億円に増資しています。
- ( 2 ) 資本金を5億円に増資し、信用力の向上と事業拡大を図ります。
- ( 3 ) ベンチャーキャピタルからの出資により、資本金が3倍になりました。
- ( 4 ) 資本金1億円以下の中小企業として、税制上の優遇措置を受けています。
- ( 5 ) 減資により資本金を減少させ、累積損失を一掃する計画です。
- ( 6 ) 資本金の額は登記事項であり、誰でも確認することができます。
資本金の会話例
内部留保と資本金の違いまとめ
内部留保と資本金は、企業の自己資本を構成する要素ですが、形成過程が根本的に異なります。内部留保は経営努力の成果、資本金は株主からの信任の証です。
財務分析では、内部留保の厚さは収益力と経営の安定性、資本金の大きさは企業規模と資金調達力を示します。
両者のバランスを適切に管理することで、企業は持続的な成長と株主価値の向上を実現できます。
内部留保と資本金の読み方
- 内部留保(ひらがな):ないぶりゅうほ
- 内部留保(ローマ字):naiburyuuho
- 資本金(ひらがな):しほんきん
- 資本金(ローマ字):shihonkin