【ABS】と【MBS】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説
ABSとMBSの分かりやすい違い
ABSとMBSは、どちらも資産を裏付けにした証券ですが、担保となる資産の種類が違います。ABS(Asset Backed Securities)は資産担保証券の総称で、自動車ローン、クレジットカード債権、リース料、売掛金など、様々な資産を担保にした証券すべてを指します。
MBS(Mortgage Backed Securities)は住宅ローン担保証券で、住宅ローンだけを担保にした証券です。実は、MBSはABSの中の一種類という関係にあります。
例えるなら、ABSは果物という大きなカテゴリーで、MBSはその中のリンゴのような関係です。MBSは住宅ローンという特定の資産に特化しているため、より詳細な分析や規制があり、市場規模も最大級です。
ABSとは?
ABS(Asset Backed Securities:資産担保証券)とは、企業が保有する金銭債権や資産を裏付けとして発行される証券の総称です。オリジネーターが特定の資産をSPV(特別目的事業体)に譲渡し、その資産が生み出すキャッシュフローを原資として証券を発行します。
投資家は、原資産の信用リスクを引き受ける代わりに、利息と元本の支払いを受けます。対象資産は多岐にわたり、自動車ローン(オートローンABS)、クレジットカード債権、リース料債権、売掛債権、学生ローンなどがあります。日本では、オートローンABSや店舗の売上債権ABSなどが活発に発行されています。
優先劣後構造により、投資家のリスク選好に応じた商品設計が可能です。格付機関による評価、サービサーによる回収業務、受託者による資産管理など、複雑な仕組みで投資家保護を図ります。原資産の分散効果により、単一債務者リスクを軽減できることが特徴です。
ABSの例文
- ( 1 ) オートローンを裏付けとしたABSを10億円発行し、自動車販売金融の資金調達を実現しました。
- ( 2 ) クレジットカード債権ABSの組成により、カード会社の自己資本比率が2%改善しました。
- ( 3 ) 太陽光発電の売電収入を裏付けとした、新しいタイプのABSの開発を進めています。
- ( 4 ) ABSの格付取得プロセスで、原資産の詳細なデューデリジェンスを実施しています。
- ( 5 ) 投資家向けに、ABSのリスク・リターン特性を分析したレポートを四半期ごとに発行しています。
- ( 6 ) 中小企業の売掛債権を集約したABSにより、間接金融に頼らない資金調達手段を提供しています。
ABSの会話例
MBSとは?
MBS(Mortgage Backed Securities:住宅ローン担保証券)とは、住宅ローン債権を裏付けとして発行される証券で、ABSの中で最も歴史が古く市場規模が大きい商品です。米国では政府系機関(ジニーメイ、ファニーメイ、フレディマック)が保証するエージェンシーMBSと、民間のプライベートMBSに分類されます。
仕組みとして、金融機関が実行した住宅ローンをプールし、その元利金返済を原資として証券を発行します。期限前償還リスク(借り手の繰上返済)が特徴的で、金利低下時には償還が加速し、投資家の再投資リスクが高まります。このリスクに対応するため、CMO(モーゲージ担保証券)などの複雑な商品も開発されています。
日本では住宅金融支援機構のフラット35を裏付けとしたMBSが代表的です。2008年のサブプライム危機では、信用力の低い住宅ローンを組み込んだMBSが金融危機の引き金となり、その後規制が強化されました。
MBSの例文
- ( 1 ) 住宅金融支援機構のMBSに投資し、安定的な運用収益を確保しています。
- ( 2 ) 米国のエージェンシーMBSへの投資を検討していますが、為替リスクのヘッジが課題です。
- ( 3 ) MBSの期限前償還リスクをモデル化し、より精緻な価格評価を行うシステムを導入しました。
- ( 4 ) サブプライム危機の教訓から、MBSの裏付け資産の質を厳格に審査する体制を構築しました。
- ( 5 ) 金利上昇局面でのMBS投資戦略について、機関投資家向けセミナーを開催しました。
- ( 6 ) 日本版MBSの市場拡大に向けて、規制緩和と投資家層の拡大を業界団体で提言しています。
MBSの会話例
ABSとMBSの違いまとめ
ABSとMBSの関係は、包含関係にあります。ABSは資産担保証券全般を指す広義の概念で、MBSはその中で住宅ローンに特化した狭義の商品カテゴリーです。ただし、市場慣行上、ABSという場合にMBSを除いた狭義のABS(住宅ローン以外の資産担保証券)を指すこともあり、文脈に注意が必要です。
投資特性の違いとして、MBSは期限前償還リスクが大きく、金利変動の影響を強く受けます。一方、(狭義の)ABSは原資産により特性が異なり、オートローンABSは比較的安定的、クレジットカードABSは循環型構造を持つなど、多様性があります。
市場規模では、米国ではMBSが圧倒的に大きく、日本では狭義のABSの方が活発です。金融機関にとって、両者の特性を理解し、ポートフォリオの分散効果を活用することが重要です。規制面でも、MBSにはより厳格な基準が適用される傾向があります。
ABSとMBSの読み方
- ABS(ひらがな):えーびーえす
- ABS(ローマ字):e-bi-esu
- MBS(ひらがな):えむびーえす
- MBS(ローマ字):emubi-esu