【募集】と【売出し】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

募集と売出しの分かりやすい違い
募集と売出しは、どちらも株式を投資家に販売することですが、株式の出所が違います。
募集は、会社が新しく株式を発行して投資家に買ってもらうことです。売出しは、すでに誰かが持っている株式を投資家に売ることです。
募集は「新規発行」、売出しは「既存株式の販売」と覚えると分かりやすいでしょう。
募集とは?
募集とは、企業が新たに株式や社債などの有価証券を発行し、投資家に対して取得の申込みを勧誘する行為です。公募増資、第三者割当増資、社債発行などが該当します。企業は募集により、事業拡大や設備投資のための資金調達を行います。募集価格の決定、引受証券会社の選定など、複雑なプロセスを経て実施されます。
募集には公募(不特定多数向け)と私募(特定少数向け)があります。50名以上への勧誘は公募となり、金融商品取引法の規制を受けます。有価証券届出書の提出、目論見書の交付などが必要です。募集により発行済株式数が増加するため、既存株主の持分希薄化が生じます。
証券市場において、募集は企業の成長資金確保の重要な手段です。市場環境、企業の信用力、将来性などが募集の成否を左右します。機関投資家、個人投資家それぞれに適した募集方法の選択が求められます。
募集の例文
- ( 1 ) 新株式の募集により、10億円の資金調達を実施します。
- ( 2 ) 公募増資の募集価格を、市場価格の5%ディスカウントに設定しました。
- ( 3 ) 社債の募集要項を発表し、機関投資家向けの説明会を開催します。
- ( 4 ) 第三者割当による募集で、戦略的パートナーとの関係を強化します。
- ( 5 ) 募集株式数を500万株とし、資金使途を明確に開示しました。
- ( 6 ) グリーンボンドの募集により、環境事業への投資資金を確保します。
募集の会話例
売出しとは?
売出しとは、既に発行されている株式を、大株主や創業者などが市場で売却することを指します。IPO(新規株式公開)時の売出し、大株主による保有株式の売却、ストックオプションの行使に伴う売出しなどがあります。売出しによる資金は売却者に入り、企業には入りません。
売出しの目的は、株式の流動性向上、創業者利益の実現、持株比率の調整などです。売出価格は市場価格を基準に、ディスカウントを付けることが一般的です。大量の株式が市場に供給されるため、需給バランスへの影響を考慮する必要があります。
ブロックトレード、立会外分売など、市場への影響を最小限にする売出し手法もあります。売出しに際しては、インサイダー取引規制、大量保有報告制度などの法規制を遵守する必要があります。
売出しの例文
- ( 1 ) 創業者による株式の売出しを実施し、市場流動性を高めます。
- ( 2 ) IPO時の売出しにより、ベンチャーキャピタルが投資を回収しました。
- ( 3 ) 大株主の売出しに際し、株価への影響を最小限に抑える工夫をしています。
- ( 4 ) 従業員持株会からの売出しで、社員の資産形成を支援します。
- ( 5 ) 売出し価格を適正に設定し、投資家の需要を喚起しました。
- ( 6 ) 立会外分売による売出しで、個人投資家への株式供給を行います。
売出しの会話例
募集と売出しの違いまとめ
募集と売出しの根本的な違いは、資金の流れです。募集では企業に資金が入り、売出しでは売却者に資金が入ります。また、募集は株式数の増加を伴い、売出しは伴いません。
投資家にとって、募集は企業の成長性を評価する機会、売出しは流動性の高い株式を取得する機会となります。企業戦略において、両者は異なる目的で使い分けられます。
証券市場の健全な発展には、募集と売出しの適切なバランスが重要です。
募集と売出しの読み方
- 募集(ひらがな):ぼしゅう
- 募集(ローマ字):boshuu
- 売出し(ひらがな):うりだし
- 売出し(ローマ字):uridashi