【役員貸付金】と【役員借入金】の違いとは?例文付きで使い方や意味をわかりやすく解説

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役員貸付金と役員借入金の分かりやすい違い

役員貸付金と役員借入金は、どちらも会社と役員間の金銭貸借ですが、その方向性と会計処理が正反対です。役員貸付金は会社から役員への貸付で会社の資産、役員借入金は役員から会社への貸付で会社の負債となります。

前者は税務上問題視されやすく、後者は資金調達手段として使われるという違いがあります。

企業経営において、この違いを理解することは、適切な資金管理と税務リスク回避に不可欠です。

役員貸付金とは?

役員貸付金とは、会社が取締役や監査役などの役員に対して貸し付けた金銭で、貸借対照表の資産の部に計上されます。個人的な資金需要、仮払金の精算漏れ、接待交際費の立替精算忘れなどが原因で発生することがあります。会社にとっては債権であり、役員個人にとっては債務となります。

税務上、役員貸付金は問題視されやすく、適正な利息を徴収しないと、その利息相当額が役員賞与として認定され、損金不算入となる可能性があります。また、金融機関からは資金の私的流用と見なされ、融資審査でマイナス評価となります。貸付金が長期化すると、回収可能性も懸念されます。

役員貸付金を解消するには、役員報酬からの天引き返済、役員借入金との相殺、デット・エクイティ・スワップ(DES)による資本金への振替などの方法があります。健全な経営のためには、役員貸付金の発生を防ぎ、発生した場合は速やかに解消することが重要です。

役員貸付金の例文

  • ( 1 ) 決算書を確認したところ、役員貸付金が500万円計上されていました。
  • ( 2 ) 役員貸付金に対して、適正利率で利息を徴収する必要があります。
  • ( 3 ) 銀行から役員貸付金の解消を融資条件として求められています。
  • ( 4 ) 役員貸付金が役員賞与と認定され、損金不算入となりました。
  • ( 5 ) 仮払金の精算漏れにより、役員貸付金が発生してしまいました。
  • ( 6 ) 役員貸付金を役員報酬から毎月10万円ずつ返済してもらっています。

役員貸付金の会話例

役員貸付金があると融資を受けられないのですか?
融資が困難になる可能性が高いです。金融機関は資金の私的流用と見なし、経営の健全性を疑います。融資申込前に解消することをお勧めします。
役員貸付金の適正な利率はどの程度ですか?
税務上は、特例基準割合+1%程度が目安です。現在は年1.6%前後ですが、毎年変動します。無利息や低利率は役員賞与認定のリスクがあります。
役員貸付金を解消する方法を教えてください。
役員報酬からの返済、退職金との相殺、役員借入金との相殺、DESによる増資などがあります。税理士と相談して最適な方法を選択しましょう。

役員借入金とは?

役員借入金とは、取締役や監査役などの役員が会社に対して貸し付けた金銭で、貸借対照表の負債の部に計上されます。会社の資金繰りが厳しい時に、役員個人が一時的に資金を提供する場合に発生します。中小企業では、銀行融資が受けられない際の重要な資金調達手段となっています。

役員借入金のメリットは、迅速な資金調達が可能、返済期限や利率を柔軟に設定できる、担保不要などです。ただし、役員個人の資金に依存しすぎると、経営の独立性が損なわれる可能性があります。また、相続発生時には相続財産となるため、事業承継時の課題となることもあります。

税務上は、適正な利息を支払えば損金算入が可能ですが、過大な利息は否認される可能性があります。役員借入金の返済や、資本金への振替(DES)により解消することができます。金融機関からは、実質的な自己資本と見なされることもあります。

役員借入金の例文

  • ( 1 ) 資金繰りが厳しいため、社長個人から役員借入金として1000万円を調達しました。
  • ( 2 ) 役員借入金には利息を支払わず、無利息貸付としています。
  • ( 3 ) 決算時に役員借入金を資本金に振り替え、財務体質を改善しました。
  • ( 4 ) 役員借入金の返済よりも、運転資金の確保を優先しています。
  • ( 5 ) 創業時の役員借入金が、いまだに2000万円残っています。
  • ( 6 ) 役員借入金明細書を作成し、借入条件を明確にしました。

役員借入金の会話例

役員借入金に利息を払う必要はありますか?
必須ではありませんが、支払う場合は適正な利率にする必要があります。過大な利息は税務否認のリスクがあります。無利息でも問題ありません。
役員借入金が多額になっていますが、問題ありますか?
事業承継時に相続財産となる、役員個人の資金に依存しすぎるなどの問題があります。計画的な返済や、資本金への振替を検討しましょう。
役員借入金を資本金に振り替えるメリットは?
自己資本比率の改善、返済負担の解消、対外信用力の向上などのメリットがあります。ただし、資本金1億円超になると大企業扱いになるので注意が必要です。

役員貸付金と役員借入金の違いまとめ

役員貸付金と役員借入金の決定的な違いは、資金の流れの方向です。役員貸付金は会社→役員、役員借入金は役員→会社という正反対の関係にあります。評価も大きく異なり、役員貸付金は税務・金融機関から否定的に見られますが、役員借入金は中小企業の資金調達手段として一定の理解があります。

会計上も、前者は資産、後者は負債という違いがあります。健全な経営のためには、役員貸付金は避けて速やかに解消し、役員借入金は必要最小限に留め、計画的に返済することが重要です。

両者を正しく理解し、適切に管理することが求められます。

役員貸付金と役員借入金の読み方

  • 役員貸付金(ひらがな):やくいんかしつけきん
  • 役員貸付金(ローマ字):yakuinnkashitsukekinn
  • 役員借入金(ひらがな):やくいんかりいれきん
  • 役員借入金(ローマ字):yakuinnkariirekinn
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